公益財団法人 大阪造船所奨学会理事長あいさつ

理事長あいさつ


理事長  南 有子

祖父、南俊二は「物を作る」ことが日本産業発展の原点であるという信念に基づき、昭和11年4月25日、株式会社大阪造船所を設立いたしました。
以後、この信念は変わることなく現存するダイゾーグループ各社に脈々と受け継がれております。
とりわけ、企業は「ヒト」であるということに設立当初から拘り、結果、教育には強い関心を寄せておりました。

設立間もなく、続いた相次ぐ戦争のなか、大阪大空襲によって本社屋が焼失したほか、当時の国策にも翻弄され、企業をしっかりと経営するような状態ではありませんでした。また、戦後の混乱期には世界経済の激変の波に再三見舞われるなど、幾多の厳しい試練にも遭遇しました。その数々の苦難を乗り越えられた源泉は、やはり、「ヒト」でした。全社一丸となった「叡智」と「努力」によるものでした。

こうしたなか、2年後に80周年を迎える平成26年7月14日、念願であった奨学事業に参画すべく、一般財団法人大阪造船所奨学会を設立することができました。

当財団の主な事業は、理工系の大学生、大学院生の皆様のなかで、向学心旺盛で優秀な資質を持ち合わせているにも関わらず、経済的な理由で修学が困難な人たちへの奨学金の給付です。
当財団も3期目に入り、これまでに10大学86名の大学生、大学院生の皆様に奨学金の給付を行うことができました。
また、平成27年10月1日からは、公益財団法人となり、より公益性のある事業として新たなるスタートを切ることができました。
今の技術革新のスピードは想像以上に早く、次世代を担う技術力溢れる人材の育成は産業界全体の喫緊の課題となっております。
このような環境下、奨学事業に参画できましたことは、祖父である、南俊二、父である南景樹と共に三代に亘る、一つの大きな目的を微力ながらも成就することができた証と嬉しく存じております。

しかしながら、我々の目標は経済的理由により、埋もれて仕舞かねない優秀な技術者を世に送り出すことです。これは我が国の科学技術発展にも寄与すること確信いたしております。

最後になりましたが、平素より当財団の運営にご理解、ご支援いただいております、各大学、関係各位の皆様へ深い感謝を申し上げるとともに、本事業の発展のため、今後とも一層のご指導、ご鞭撻をお願い申し上げます。